金融機関の融資は、「金融検査マニュアル」に従って業務が進められています。もともと金融検査マニュアルは、検査官が金融機関を検査する際の手引との位置づけだったのですが、検査される側の金融機関からすれば、極めて強い指導力を発揮します。そこで、金融検査マニュアルでは、債務者区分の判断にあたっては、債務者の経営実態を総合的に勘案して判断し、金融検査マニュアルの基準を機械的・画一的に適用してはならないとしています。
債務者区分とは、金融機関から金銭を借り入れる債務者についてランク付けをして区分し、その「引当金計上の額」、「上乗せ金利の水準」、「担保条件」を統一しようとするものです。この債務者区分について、特に財務面における代表者等との一体性、企業の技術力、販売力や経営者本人の信用力等を検査の際にきめ細かく検証する必要のある中小企業等の債務者区分についてまとめたものが「金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕」ですが、これが金融庁のHPで公開されています。
債務者区分は金融機関の内部審査基準ですので、公表されているわけではありませんが、ある金融機関の債務者区分と貸倒引当率は以下のようなものとされています。
債務者区分 | 貸倒引当率 |
正常先 | 0.14~5% |
要注意先 | 1~10% |
要管理先 | 15~40% |
破綻懸念先 | 70% |
実質破綻先・破綻先 | 100% |
ここで重要なのは、債務者区分と貸倒引当率が対応しているということです。もし貴社が要管理先に区分されてしまうと、金利は最低年15%超でないと、金融機関は融資をしてくれません。なぜなら、貸倒引当率が15~40%なので、最低年15%超でないと、貸せば貸すほど銀行が損をしてしまうことになるからです。通常、銀行の営業担当者から勧められて融資を受ける際の金利は3~5%でしょう。それは貴社が正常先に区分されているからなのです。これが要管理先になると、いきなり金利は年15%超に引き上がります。そして、要管理先以下の債務者区分に対する債権が「不良債権」と呼ばれるものなのです。貴社の債務者区分はどうなっているのか、それが今後の会社の命運を左右するのです。
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